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豊島区の胃がん検診〜内視鏡で早期発見・専門医が解説する検査の流れ

2025.07.21

豊島区の胃がん検診〜内視鏡で早期発見・専門医が解説する検査の流れ
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胃がん検診で病気の早期発見をするまでの検査の流れについて詳しく解説させて頂きました。

豊島区の胃がん検診で内視鏡検査が選べるようになりました

皆さん、定期的な健康診断は受けていますか?特に50歳を超えると気になるのが胃がんのリスクです。胃がんは早期発見できれば治療効果が高く、生存率も大幅に向上します。

2025年4月から豊島区では、胃がん検診に内視鏡検査(胃カメラ)が選択できるようになりました。これは区民の健康を守る大きな前進といえるでしょう。
私は日本消化器内視鏡学会専門医として、内視鏡検査の重要性を日々実感しています。バリウム検査と比べて内視鏡検査は直接胃の中を観察できるため、小さな異常も見逃しにくいという大きなメリットがあるのです。
今回は、豊島区で受けられる胃がん検診の内視鏡検査について、対象者や費用、そのメリットから予約方法まで、医師の立場から詳しくご説明します。

豊島区の胃がん検診(内視鏡検査)の対象者と費用

まず、豊島区の胃がん検診(内視鏡検査)を受けられる方の条件を確認しましょう。
豊島区在住で、令和8年3月31日現在、50歳以上の偶数年齢の方が対象となります。例えば、1975年生まれの方は2025年度に50歳になるので対象となりますが、1976年生まれの方は49歳なので対象外です。
検診の費用については、基本的に無料です。ただし、検査中に組織検査(生検)が必要になった場合は、その部分のみ保険診療となり、3割負担の方で約4,000円程度の費用がかかります。これは異常が見つかった場合の精密検査にあたるためです。

胃がん検診は命を守る投資です。わずかな時間と手間で、将来の大きな安心を手に入れることができます。

実施期間は令和7年4月1日から令和8年3月31日までとなっていますが、予約の申込みは令和8年2月28日までとなっているので注意が必要です。早めの予約をお勧めします。
検診チケットは対象の方に4月下旬に豊島区から自動的に送られてきます。もし紛失してしまった場合や届いていない場合は、地域保健課保健事業グループ(電話番号:03-3987-4660)に問い合わせてください。
80歳以上の方は検診チケットの申し込みが別途必要となりますので、同じく地域保健課へご連絡ください。

内視鏡検査(胃カメラ)のメリット

内視鏡検査(胃カメラ)のメリット

胃がん検診には、バリウムによる「胃X線検査」と「内視鏡検査(胃カメラ)」の2種類があります。なぜ内視鏡検査が優れているのでしょうか?
内視鏡検査の最大のメリットは、胃の粘膜を直接観察できることです。小さな変化や色調の異常も見逃しにくく、早期胃がんの発見率が格段に高くなります。

バリウム検査では見つけにくい平坦型の早期胃がんも、内視鏡なら発見できる可能性が高まります。さらに、気になる部分があれば、その場で組織を採取して詳しく調べることができるのです。
近年では内視鏡技術も進化し、AIによる病変検出支援システムを導入している医療機関も増えています。これにより、医師の目とAIのダブルチェックで、さらに見逃しのリスクを減らすことができるようになりました。

経口・経鼻・鎮静剤の選択が可能に
内視鏡検査には「口から入れる方法(経口)」と「鼻から入れる方法(経鼻)」があります。どちらも一長一短ありますが、多くの医療機関では患者さんの希望に合わせて選択できるようになっています。
「オエッとなりやすい」「検査が怖い」という方には、鎮静剤(睡眠導入剤)を使用する方法もあります。豊島区の胃がん検診でも鎮静剤の使用が可能な医療機関があり、うとうとした状態で楽に検査を受けられます。
私の経験では、初めて胃カメラを受ける方の多くは不安を感じますが、実際に受けてみると「思ったより楽だった」という感想をいただくことが多いです。検査時間も通常10分程度と短く、苦痛も最小限に抑えられるようになっています。
あなたはどんな検査方法が合っていますか?医療機関に相談してみてください。

胃がん検診を受けるべき人とは?

胃がん検診は50歳以上の方なら誰でも受けた方がよいですが、特に以下の症状や条件に当てはまる方は積極的に受診することをお勧めします。

・胸やけや胃もたれが続いている
・食欲不振や体重減少がある
・胃の痛みや不快感がある
・家族に胃がんになった人がいる
・ピロリ菌感染の既往がある
・喫煙習慣がある
・塩分の多い食事を好む

特に、ピロリ菌感染は胃がんの最大のリスク要因です。ピロリ菌を除菌した方も、その後の定期的な検査が重要です。なぜなら、除菌後も胃粘膜に残ったDNAメチル化異常が胃がんの原因となる可能性があるからです。
研究によれば、ピロリ菌除菌後も一定の確率(年率2.0~2.5%)で胃がんが発生することが分かっています。特に、DNAメチル化異常の程度が高い方は、低い方と比べて3倍も胃がんになりやすいというデータもあります。

無症状でも検診は必要です
胃がんの怖いところは、初期にはほとんど症状が現れないことです。「何も症状がないから大丈夫」と思っていると、発見が遅れてしまう可能性があります。
私が診療で経験した多くの早期胃がん患者さんも、自覚症状はほとんどなく、検診で偶然見つかったケースがほとんどでした。だからこそ、定期的な検診が重要なのです。
あなたの大切な人のためにも、ぜひ検診を受けてください。「行かなくてもいいか」と思ったその瞬間が、実は最も検診に行くべきタイミングかもしれません。

内視鏡検査の流れと準備

内視鏡検査を受ける際の流れと、事前に知っておくべき準備について説明します。

まず、検査前日の夕食は21時までに済ませてください。その後は検査までの間、食事は控え、水やお茶のみの摂取にとどめましょう。これは胃の中を空にして、しっかりと観察するためです。
検査当日は、マイナンバーカード(もしくは保険証)と検診チケット(「胃部X線検診もしくは胃内視鏡検査」と記載のあるもの)を忘れずに持参してください。
多くの医療機関では、リラックスできる服装での来院を推奨しています。検査着への着替えが不要な施設も増えているので、楽な服装で来院するとよいでしょう。

検査当日の注意点
鎮静剤を使用する場合は、検査当日の車やバイクの運転はできません。公共交通機関を利用するか、家族に送迎してもらうようにしましょう。
検査自体の所要時間は約10分程度ですが、前後の準備や説明を含めると、医療機関での滞在時間は1時間程度を見込んでおいてください。
内視鏡検査で腫瘍性病変が疑われた場合、その場で生検(組織検査)を行うことがあります。これは精密検査にあたるため、別途費用(健康保険3割負担の方で約4,000円程度)がかかりますが、確定診断のためには非常に重要な検査です。
検査結果は、豊島区から郵送で届きます(1~2ヶ月後)。結果が「要経過観察」「要精密検査」「要治療」となった方は、必ず医療機関で説明を受けるようにしてください。

及川醫院での内視鏡検査の特徴

豊島区巣鴨にある及川醫院では、2025年4月1日より豊島区胃がん検診・内視鏡検査の受付を開始しました。当院の内視鏡検査には、いくつかの特徴があります。
まず、アクセスの良さが挙げられます。JR山手線・都営三田線巣鴨駅から徒歩5~6分という好立地にあり、通院しやすい環境です。

内視鏡検査は月曜日・水曜日・金曜日・土曜日に実施しており、特筆すべき点として、平日に検査時間を取れない患者さんのために、定期日曜日(第1週・第3週)にも検査を実施しています。
当院では苦しくない胃カメラ・大腸カメラ検査を実施しており、鎮静剤を使用した検査も可能です。また、同日に大腸カメラ(保険診療)も受けることができるため、一度の来院で胃と大腸の両方を検査できる利便性があります。


当院の内視鏡検査の方法
及川醫院では、患者さん一人ひとりに合わせた内視鏡検査の方法を提案しています。
・通常カメラによる経口内視鏡(口から入れる胃カメラ)
・鎮静剤を使った経口内視鏡(点滴で眠った状態で受ける胃カメラ)
・経鼻内視鏡(鼻から入れる胃カメラ)
・鎮静剤を使った経鼻内視鏡(点滴で眠った状態で受ける鼻からの胃カメラ)
・経鼻内視鏡を使った経口内視鏡(細いカメラを使った口からの胃カメラ)

特に「オエッとなりやすい方」「緊張の強い方」には、鎮静剤を使って眠った状態で検査を受けていただくことができます。当院では喉の反射の状態や体つき・年齢を加味しながら、鎮静剤の量を0.1㎎単位で調整しており、必要最小限の薬の量でも苦しくなく、かつ副作用の頻度も少なく安全に検査を行うことができます。
また、「鎮静剤で眠るのが怖い、でも楽に受けたい」という方には、経鼻内視鏡という鼻から細いスコープで行う胃カメラがあります。舌を通過しないので反射が起こりにくく、スコープも細いため(5.4mm)、非常に楽に受けていただけます。

内視鏡検査で発見できる病気

内視鏡検査では、胃がん以外にもさまざまな消化器疾患を発見することができます。
食道では、逆流性食道炎、食道がん、食道ポリープ、食道裂孔ヘルニア、食道静脈瘤、好酸球性食道炎、食道カンジダ症(カンジダ食道炎)、食道粘膜下腫瘍、食道乳頭腫、食道アカラシア、非びらん性胃食道逆流症などが診断可能です。

胃・十二指腸では、急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ菌感染、萎縮性胃炎、胃がん、胃アニサキス症、胃ポリープ、機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)、胃粘膜下腫瘍などを発見できます。

特に近年注目されているのが、AIによる病変検出支援システムです。医師の目とAIのダブルチェック体制で、見逃しのリスクを最小限に抑えることができます。研究によると、AIを活用することで早期胃がんの発見率が向上することが報告されています。
胃がんは早期発見できれば内視鏡治療で完治できる可能性が高く、体への負担も少なくて済みます。しかし、進行してからでは大きな手術が必要になることもあります。だからこそ、定期的な検診が重要なのです。

まとめ〜胃がん検診で健康な未来を守ろう

豊島区の胃がん検診(内視鏡検査)についてご紹介してきました。2025年4月から始まったこの制度は、区民の健康を守る大きな一歩です。
対象は豊島区在住の50歳以上の偶数年齢の方で、基本的に無料で受けることができます。内視鏡検査は胃の中を直接観察できるため、早期胃がんの発見率が高く、早期発見・早期治療につながります。

及川醫院では、患者さん一人ひとりに合わせた内視鏡検査の方法を提案しており、鎮静剤を使った苦しくない検査や経鼻内視鏡など、さまざまな選択肢があります。また、平日に時間が取れない方のために、定期日曜日にも検査を実施しています。
胃がんは早期発見できれば内視鏡治療で完治できる可能性が高いですが、進行してからでは大きな手術が必要になることもあります。症状がなくても定期的な検診を受けることが、あなたの健康な未来を守る鍵となります。

検診の予約や詳細については、及川醫院(TEL:03-3945-9270)までお気軽にお問い合わせください。あなたの健康を守るお手伝いをさせていただきます。
詳細は及川醫院の公式サイトでもご確認いただけます