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大腸がんの早期発見に!巣鴨でおすすめの大腸カメラ検査とは
大腸がんの現状と早期発見の重要性
大腸がんは日本人のがん罹患数で見ると、男性では前立腺がんに次いで第2位、女性では乳がんに次いで第2位となっています。さらに死亡原因となるがんとしては、男性では肺がんに次いで第3位、女性では第1位という深刻な状況です。
毎年5万人以上の方が大腸がんで亡くなっており、40年前と比較すると患者数は約6倍に増加しています。この背景には、日本人の食生活の欧米化があります。特に高脂肪の食事摂取が増えたことが大きな原因と考えられています。
大腸がんの怖さは、進行するまで自覚症状がほとんどないことです。しかし、早期に発見して適切な治療を行えば、ほぼ完治が可能なのです。早期発見こそが生存率を大きく上げる鍵となります。
私は消化器内視鏡専門医として、多くの大腸がん患者さんを診てきました。早期発見できた場合と進行してから発見された場合では、治療の選択肢も予後も大きく異なります。定期的な検診で早期発見することの重要性を、ぜひ皆さんに理解していただきたいと思います。
大腸の構造と大腸がんの特徴
大腸がんについて理解するためには、まず大腸の構造を知ることが大切です。大腸は食べ物の最後の通り道で、右下腹部から始まり、おなかの中をぐるりと大きく回って肛門につながる長さ1.5〜2mほどの臓器です。
大腸は「盲腸」、「上行結腸」、「横行結腸」、「下行結腸」、「S状結腸」、「直腸」に分けられます。「盲腸」から「S状結腸」までにできるがんを「結腸がん」、「直腸」にできるがんを「直腸がん」と呼び、これらを合わせて「大腸がん」と総称しています。日本人では特にS状結腸と直腸に発生しやすい傾向があります。
大腸の壁は内側から順に、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5つの層に分かれています。大腸がんは大腸の粘膜に発生し、次第に大腸の壁に深く侵入していきます。
大腸の主な役割は水分を吸収することです。小腸で消化吸収された食物の残りは、大腸で水分を吸い取られ、肛門に至るまでにだんだんと固形の便になっていきます。
大腸がんの多くは腺がんです。腺がんは乳頭腺がん、管状腺がん、低分化腺がん、粘液がん、印環細胞がん、髄様がんに分類されます。また、発生経路としては腺腫という良性の腫瘍ががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
大腸がんの症状と進行度
大腸がんの怖いところは、早期の段階ではほとんど自覚症状がないことです。そのため、気づいたときには進行していることも少なくありません。
では、大腸がんが進行するとどのような症状が現れるのでしょうか。
最も頻度が高いのは、便に血が混じる(血便)、便の表面に血液が付着するなどの症状です。また、慢性的な出血による貧血の症状(めまいなど)が現れることもあります。
腸が狭くなることで便秘や下痢を繰り返したり、便が細くなったり、便が残る感じがしたり、おなかが張るといった症状も出てきます。さらに進行すると腸閉塞となって便が出なくなり、腹痛や嘔吐などの症状が起こることもあります。
血便などの症状は痔などの良性の病気でも起こりますが、自己判断せずに早めに医療機関を受診することが大切です。「痔だから大丈夫」と思い込んで放置すると、発見が遅れてしまう危険性があります。
どうですか?心当たりはありませんか?
大腸がんの進行度は、がんの深達度(どれだけ深く浸潤しているか)とリンパ節転移や遠隔転移の有無によって決まります。早期大腸がんは粘膜内または粘膜下層までにとどまるもので、リンパ節転移の可能性が低く、治療成績も良好です。一方、進行大腸がんは固有筋層以深に浸潤したもので、リンパ節転移や遠隔転移のリスクが高くなります。
大腸がん検診の種類と方法
大腸がんは早期発見・早期治療が可能ながんです。そのためには定期的な検診が欠かせません。国が推奨する大腸がん検診は40歳以上の方を対象に、1年に1回の便潜血検査を基本としています。
便潜血検査は、便に混じった目に見えない微量の血液を検出する検査です。大腸がんやポリープなどの大腸疾患があると大腸内に出血することがあり、その血液を検出します。検査は2日分の便を採取して行います。
便潜血検査は簡便で体への負担がない優れた検査法です。多くの市区町村で実施されており、数百円〜1000円程度の自己負担で受けることができます。無料としている自治体もあります。
検査の結果は10日〜1ヶ月ほどで通知されます。「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けましょう。大腸がんは毎日出血しているわけではないため、1日分でも便潜血検査陽性となったら精密検査を受ける必要があります。便潜血検査をもう一度受けることは精密検査の代わりにはなりません。
精密検査としては、全大腸内視鏡検査が一般的です。全大腸内視鏡検査は下剤で大腸を空にしたあとに肛門から内視鏡を挿入して、直腸から盲腸までの大腸の全部位を観察し、がんやポリープなどの病変の有無を確認します。
全大腸内視鏡検査が困難な場合は、大腸のX線検査(注腸検査)や大腸CT検査などが行われることもあります。
大腸内視鏡検査の実際
大腸内視鏡検査は、大腸がんの精密検査として最も重要な検査です。検査の流れについて詳しく見ていきましょう。
検査前日は、消化の良いものを控えめに摂り、午後8時頃までに夕食を済ませます。検査当日は食事や飲み物、たばこ、薬などは基本的に禁止です。常備薬を服用されている方は、事前に医師に相談しておきましょう。
大腸内視鏡検査の前には、大腸をきれいにする前処置が必要です。前処置では下剤を服用して腸内を空にします。自宅で下剤を服用する場合と、医療機関で服用する場合があります。下剤は数回に分けて合計2リットル程度飲み、何度かトイレに通うと液体のような便(水様便)になります。
検査室では検査台に横になり、鎮静剤や腸の緊張をやわらげる薬を注射されることがあります。鎮静剤を使用すると眠気を感じるため、検査当日の車の運転は避けてください。
検査中は医師がモニターに映る腸内を隅々まで観察します。ポリープが見つかった場合には、その場で切除することもあります。検査時間は通常15〜30分程度ですが、患者さんの状態やポリープの有無などによって異なります。
検査後はおなかが張ってくるので、おならをどんどん出すようにしましょう。飲食は1時間後から可能です。組織採取やポリープ切除を行った場合は、激しい運動は避け、入浴はせずにシャワー程度にしましょう。また、刺激のある食事・飲酒・コーヒーなどは2〜3日避けるようにします。
大腸がん予防のための生活習慣
大腸がんの発生は生活習慣と深く関わっています。予防のためには日常生活での取り組みが重要です。科学的に効果が確認されている予防法をご紹介します。
まず、運動は大腸がんの予防に効果的であることがほぼ確実であるとされています。適度な運動を習慣にすることで、大腸がんのリスクを下げることができます。
食生活では、食物繊維やカルシウムの摂取が大腸がんの予防に効果的である可能性があります。野菜や果物、全粒穀物などの食物繊維が豊富な食品を積極的に摂りましょう。
一方で、加工肉や赤肉の過剰摂取は大腸がんのリスクを高める可能性があるとされています。特に女性では、これらの摂取により大腸がんが発生する危険性が高くなる可能性があるといわれています。
また、喫煙、過度の飲酒、肥満も大腸がんの危険因子とされています。禁煙する、飲酒を控える、適正な体重を維持することも大腸がん予防には重要です。
大腸がんの発生には家族の病歴との関わりもあります。特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、近親者に大腸がんの発生が多くみられます。家族に大腸がんの患者さんがいる場合は、より早期からの検診が推奨されます。
さらに、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)がある方は、大腸がんが発生する危険性が高くなるとされています。定期的な医療機関の受診と検査が重要です。
大腸がん検診の重要性と生存率
大腸がん検診の最大の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。では、実際に検診によってどれくらい生存率が向上するのでしょうか。
大腸がんは早期発見できれば5年生存率が90%以上と非常に高い数値を示します。一方、進行した状態で発見された場合の5年生存率は大きく低下します。特に遠隔転移がある場合は厳しい状況となります。
国立がん研究センターの報告によると、便潜血検査による大腸がん検診は、大腸がんによる死亡リスクを15〜33%減少させるという結果が示されています。これは科学的に証明された効果です。
しかし、日本における大腸がん検診の受診率は依然として低く、精密検査の受診率も十分ではありません。そのため、大腸がんによる死亡率の減少は十分に達成されていないのが現状です。
大腸がん検診を受けることで得られる利益(大腸がんで亡くなることを防ぐ)は、検診の不利益(偽陰性、偽陽性、過剰診断、偶発症など)を大きく上回ります。40歳を過ぎたら、毎年1回の便潜血検査を受けることをお勧めします。
検診と検診の間に発生して急速に進行するがんもわずかながらあります。便に血が混じる、便に血が付着する、腹痛、便の性状や回数の変化など、気になる症状が続く場合は、次のがん検診を待たずに医療機関を受診してください。
あなたの命を守るのは、あなた自身です。定期的な検診で大腸がんから身を守りましょう。
まとめ〜早期発見が命を救う
大腸がんは日本人のがん罹患数・死亡数で上位を占める重大な疾患です。しかし、早期に発見して適切な治療を行えば、ほぼ完治が可能ながんでもあります。
大腸がんの特徴は、早期の段階では自覚症状がほとんどないことです。そのため、症状が現れてから医療機関を受診すると、すでに進行している場合が少なくありません。定期的な検診による早期発見が何よりも重要なのです。
国が推奨する大腸がん検診は、40歳以上の方を対象に1年に1回の便潜血検査です。便潜血検査で「要精密検査」となった場合は、必ず全大腸内視鏡検査などの精密検査を受けましょう。「痔だから」などと自己判断して精密検査を受けないのは絶対に避けるべきです。
大腸がん予防のためには、適度な運動習慣、食物繊維が豊富な食事、禁煙、適正飲酒、適正体重の維持などの生活習慣も重要です。
私たち及川醫院では、苦しくない大腸内視鏡検査を実施しています。平日に時間が取れない方のために、定期日曜日(第1週・第3週)にも検査や日帰りポリープ手術を行っています。ご希望の方はお気軽にご相談ください。
大切なのは「自分は大丈夫」と思い込まないことです。大腸がんは誰にでも発生する可能性があります。定期的な検診で早期発見し、健やかな生活を送りましょう。
詳しい検査内容や予約方法については、内視鏡検査 及川醫院
の公式サイトをご確認ください。皆様の健康を守るため、専門医として最善の医療を提供いたします。
この記事を書いた人
院長 及川 紘太郎
執筆者プロフィール
・日本消化器内視鏡学会専門医
・日本内科学会認定医
・日本医師会認定産業医
・豊島区医師会理事